私がアート・セラピーを担当しているこの地域の学区域主催の
CEA(Certified Education Assistant)トレーニング:学校のクラスで学習に困難がある生徒を支援する役割の養成コースを教えてきました。
2009年に3時間枠で始めた私のアート・セラピーのコース。
受講生より「もっとじっくりと学びたい」という要望があり、
翌年から全日(6時間)コースに延長されました。
会場のオカナガン・カレッジはオカナガン地区に幾つかキャンパスを持つ教育機関で、高校を卒業した生徒が大学編入のための単位を取得する目的で通う本科と、資格取得や趣味のための生涯学習コースに分かれています。
今回は後者のCEA(Certified Education Assistant)養成10ヶ月コースの一環としてのアート・セラピーの講座としてコースを教えました。
参加者24名は20代から60代とさまざまな年代の女性でした。残念ながら、このコースの黒一点の男性は欠席でした(笑)
この写真に写っているのは、私が1993年に日本語クラスの補助教師をしていた頃の最初の生徒のLさん。20年後に私はアート・セラピストとして、彼女はコースの受講生としてこんな所で再会するとは夢にも思っていませんでした!
コースのタイトルは
『アート・セラピー:どんなもので、どのように生徒に効くのか?』
最初の1時間半はグループ・ワーク。6人一組で座っているので、順番に出される8問の質問に対してグループ討議をして発表するというもの。
アート・セラピーの基本理念やどのように用いられるかの知識を学びます。
今回の受講生は意欲的で、たくさんの質問が寄せられました。ご自身や知人のお子さんの話を例にとって発言する受講生が多く、とても意味深い話ではあるものの、時間配分するのに苦労しました。
休憩の後は生徒のアート・ワークのスライド・プレゼンテーション。実際にどのような形でアートが生徒との関係に介入されているかを見てもらいました。
「このような作品に対して、アート・セラピストとしてどのように対応するの?」
「絵を描きたくないという生徒をどう指導するの?」
またまたセッションに対する質問が寄せられ、私のアート・セラピストとしての体験を語ることによって、受講生の理解が深められたようで何よりでした。
ランチの後は実際にどのような方法でアートを生徒との関わりで用いていくかの演習。
多くの受講生がアート・セラピーの分野の絵画分析とその解釈に興味を持っていたので、実際に絵のアセスメントのテストを行い、その解釈を本から朗読しました。
「家に大きいドアが描かれていたら・・・」
「木に節や穴が描かれていたら・・・」
「人の頭が大きく 描かれていたら・・・」
など、それぞれの解釈を読み上げました。
その記述に一喜一憂した後の受講生の感想は、
「どうしてそのように描かれたか説明もしていないのに、ステレオ・タイプの解釈を自分に当て嵌められたくない」
「セラピストがこのような解釈を登用するなら、絵を描くこと自体にに不安を覚えそう」
「作者にその絵についての説明を訊かないで絵の解釈をしてしまったら、作者の本意は伝わっていない」
もっともだと感じられる感想が寄せられました。
「私はお絵かきする孫に、おばあちゃんとして声掛けしていたので、教育アシスタントとして仕事をする時は認識をかえなきゃね」と右から二番目の受講生
「絵を描いているうちに、自分でも気づかなかった気持ちが表われてビックリ!」
「こんなに夢中になって絵を描いた記憶はないわ。色を塗っていると時間があっという間に過ぎている」
「教育アシスタントとしてアート作りを介して、どんなふうに生徒と関わっていくかの練習ができてよかった」
受講生は幾つかのアート・エクササイズをしてみて、
どのような方法でアートを生徒との関わっていくか段々と勘が掴めてきた様子。
最後に応えてもらったコースのアンケートは5段階評価の5が並ぶ素晴らしいものばかりでした。
「あなたのコースに出て楽しく描き、且つ、アート・セラピーの全景を掴めてよかった」
「お子さんの絵を上手い、美しいなど褒めていましたが、これからは、どのように描かれている、お子さんが創作していた時の態度などを評価するようにしていきたい」
「よく仕切られていて、情報に富み、エクササイズが盛りだくさんで、今日という一日が幸せだった。ここで体験したことを実践で活かしていきたい」
セルフ・タイマーで写した写真には、受講生の皆さんが自分の作品を手にしている姿も。
来年になったら、今日、受講生として出会った皆さんが、教育アシスタントとして活躍する姿を拝見できることでしょう。そんな日が来ることが今から楽しみです。
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