2016年3月2日水曜日

3/1/16 【性的虐待を見つめてみよう!】

先週はプレイ・セラピーのワークショップに参加するためにバンクーバーへ。
こちらより大分暖かくなっていて、桜が咲いていました。

講師のジェニファー・ショー博士と共に

心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする 『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。
 

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以前、このブログにD君の事例として書いたように、カナダでは男女を問わず子どもが性的虐待にあう機会が多いと見受けられます。 

1/09/16 【D君:性的虐待が切り裂いたのは…】

http://kokoronoartwork.blogspot.ca/2016/01/090116d.html

北米では女性の25%、男性の16%が子ども時代に性的虐待(CSA)を体験。

CSAにより短期&長期の重篤な心身の不調を起こし、生涯に渡って支払う医療費は16%増しになる。

この一年半の間に性的虐待の被害にあった子どもは1500万人に及ぶ。

とても重いテーマではありますが、目を逸らすことはできない問題です。 
 
今回参加したワークショップは、
『性的虐待を受けた児童と若者:発達過程の衝撃への理解と回復の促進』

 
会場は、何とボールルーム・ダンスのスタジオでした!  
テーマと会場の雰囲気のギャップが激しいのですが、
10か月前には既にここしか予約できる会場がなかったからとのこと。

 
100名以上の心理・教育・福祉などの関係者が集まりました。

Complex Post Traumatic Stress Disorder:複雑心的外傷後障害は、 
認知的感情的に脅威にさらされ、信頼を裏切られ、心身の安全性を奪われ、罪悪感や恥の気持ちを起こすような出来事が何度も繰り返された場合に起ります。

性的虐待の他に、拷問や体罰、暴力的な人間関係(信頼を裏切られる)、家庭内暴力を見聞きする、戦争などの政治的な虐待が含まれます。

これが原因となり、以下のような症状も起こり得ます。

大うつ病
不安症
精神疾患
境界型パーソナリティー障害
薬物(飲酒)乱用
統合失調症

反抗挑戦性障害
自傷行為
自死念慮

なぜなら、前出のトラウマは脳を傷つけ個人の認知・感情・行動機能を変容させてしまうからなのです。 




会場にはさまざまな興味深い著書や教育玩具が販売されていました。 

1日目は複雑心的外傷後障害について深く学び心身共にどっと疲れました。
 
こんなオモチャもありました~
これが日本人のイメージなのでしょうか…


2日目の内容は、まずこの内容からスタート。

複雑トラウマがもたらす7分野の欠損と、
そこからの回復

1.愛着関係
2.生物学的な面
3.感情統制
4.乖離
5.行動の制御
6.認知
7.自己概念

これらの領域が全て多かれ少なかれダメージを受けることによって、
当事者は生き難くなっていきます。

では、どのようにこのCSAの回復を促進していくのか?

さまざまな方法が紹介された中で興味深かったのがこちら。

 
プレイ・セラピーのシャボン玉をグループ内で渡し合うエクササイズ。

CSA被害者がセラピストと遊びながら、心の痛みを表現したり
手離していけますように。

さまざまな人種の人々が住むカナダ。
日本人のソーシャルワーカーの方にも出会えてびっくり!

CSAの事例紹介は聴くに見るに堪えないようなケースが多く、

心を傷めました。

でも、今回のワークショップで学んだテクをこれからの

アート・セラピーの臨床に活かしていけるという希望を感じました。





 


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