明日はクリスマス!
このまま雪が降り続けたらホワイト・クリスマスになりそう。
引っ張りあったらどちらが勝つかな?
心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする
『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。
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B君は現在ホーム・ケアと呼ばれる養育者宅で暮らしている。
13歳のB君はASD:自閉症スペクトラム障害を持っていて、言葉が話せない。
声は出せるので、感情が激すると甲高い奇声を上げる。
B君は自分からは話せなくても、人が自分に話しかける言葉を聞き取り理解することができる。
アート・セラピーは言葉を超えたコミュニケーションが
できる。
それでも、今まで話せないクライアントはいなかったので、
どんなふうに彼とセッションしたらいいのか悩んだ。
B君はお絵かきよりも字や数字を書くことが好きと聞いていた。
でも、書いている単語や数の概念はないとも。
養育者は彼が書いている言葉と、その”もの”を関連させて理解できるように
なるよう教育しているが、なかなか難しいとのこと。
私は彼を教育していく立場ではないが、彼という人間に対する理解を深めるためにアートやクラフト用具を用いて関わろうとB君とセッションするようになった。
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B君との最初のセッション。
テーブルに大きな紙を敷いて、B君に
私「さあ、どうぞ!」
と手で紙を指し示した時、意外なことが起った。
B君が私の手に触った!
私がB君に握手を求めたのだと勘違いしたのかな?
敢えて画面を暗くしてアップした彼が最初に描いた作品
自閉症を持つ人のお絵かきに特徴的な重ね描きが見られる。既に書いてある部分に何重にも重ねて描き続ける。
紙に余白がなくなったので、別の紙を渡そうとしても描き続ける。
裏写りするので、新しい紙を渡そうとしても裏にして描き続ける。
B君は集中力抜群!
一度描き始めたら、途中で別のことをする指示をしても、ちょっとだけ
手を出してまた前の作業に戻る。
彼は手の感触が敏感だと聞いていたので、プラスタシーン(ベタつかない粘土)とクッキーの型抜きを持っていった。
型抜きは気に入ったようで、上手にいろいろな形を抜いていく。
紙についた粘土に楊枝で何か描きだした。
B君は細かい作業に没頭する。
何度も何度も飽きずに描いている。
私は茶色い粘土でクッキーの形を作って、COOKIEと刻んだ。
私「この文字を粘土の上に書いてみて」
私の期待に反してB君は〇の中に目・鼻・口を描き入れた。
彼にとって〇は顔の輪郭なので、COOKIEという文字をが目に入っても
真似をしないのだろう。
彼にとって、〇はクッキーではなく顔の輪郭だから。
パイプクリーナーと呼ばれるクラフト用針金をクリスマスの杖のように縒って、引っ張り合いをした。
B君が笑い出した!
どちらが負けても、勝っても、どちらもおかしいらしい。
私には彼の笑いのツボは分からないけれど、
B君はこの遊びに刺激されて笑っている。
B君は私と関わることで、何らかの影響を受けることがあるのではないか?
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どうなることかと案じていたB君とのセッション。
養育者はセッションのあと、彼がとても楽しそうな顔をしていると教えてくれた。
最初のセッションで言葉がなくても分かり合える部分も
あると感じた私。
希望を胸にB君とのセッションを続けていこう。
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