雪が降らずに雨が続いている今年のカナダの冬。
この調子で行くとドライ・クリスマス(雪が降らずに地面が乾いている)に
なりそうです。
心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする
『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。
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たくさんのアクセスがあった、K君のお話の続きです。
【W君1:生まれ直したい】
http://kokoronoartwork.blogspot.jp/2015/11/111415.html
私とのアート・セラピーのセッションで生まれ直しの儀式のような動作を
繰り返していたW君。
彼の担任の先生と話してみると、どうやら彼はお母さんとの愛着関係が
希薄な様子だった。
セッションでオモチャを用いて自然発生的に劇をしていたら、
こんな会話になった。
W君「ボクのお母さんはもういないんだ」
私「そうなの、いなくなっちゃったのね。」
W君「死んだ。」
私「そうなの、死んじゃったの?
どうして死んじゃったの?」
W君「ただ、死んじゃったんだ。それだけ」
W君は紋切り調にこう言い放つと、劇は別場面に展開した。
W君「先生はボクのお母さんなんだ。
ボクはコーラが飲みたいんだけど、
ボクが隠してあるから先生には探せない。
先生はいろいろなものを持ってくるけど、
ボクは気に入らない。
欲しいものはコーラだけだから。」
気に入らないものは全て床に投げつけられた。
あっ・・・そうだったんだ!
私=お母さん
それで、私が何をしても気に入らなかった。
お母さんと結びつきたいのに、
コーラ(愛)が欲しいのに、お母さんには探せない。
上手くいかなくてイライラして
私に八つ当たりしてたんだ~
本当に欲しいのは、お母さんの愛なんだね。
劇は違った展開を見せ、W君はカエルに安全地帯を作った。
この囲いは彼の家であり、安心して居られるところ。
まるで、 母の胎内のように。
W君「ねえ、先生。ボクに折り紙で携帯電話を折ってよ。」
W君のいつもの命令口調とは違った、お願いの調子だった。
私が折り終ると、次は紙飛行機を折って欲しいと言う。
私「いいよ。何色がいい?」
W君「先生が選んでいいよ。
飛行機の形も任せたよ」
「お兄ちゃんにあげるんだ」とカモフラージュ風に模様を描いたW君。
ええ~っ、
ああせい、こうせいと命令していたW君が!
私に作業を委ねている間、自分は私の横で折り上がった携帯電話に絵を描いたり、番号を付けたりしていた。
その様子はとても心が落ち着いていて、
W君が初めて安らかに見えた。
彼の足が私のふくらはぎに当たってるのを感じた。
子どもは体温が高くて、温かい。
心を許して私に近づいてきたくなると、
こんなふうに机の下で足を寄せてくる子がいる。
W君「先生とのこの時間がずっと続いたらいいのに。」
残念ながら、W君の願いは果たしてあげられない。
セラピストは親の代替としてさまざまな感情を
投げかけられることがあるけれど、
本物の親にはなれない。
来年のセッションでW君に会えるまで、
北米では一大行事のクリスマスがある。
このセッションで過ごした心安らかな時間を胸の片隅に刻んで、
ストレスの強いこの時期を乗り切って欲しいな。
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