2015年12月15日火曜日

12/14/15 【W君2:本当に欲しかったのは・・・】

雪が降らずに雨が続いている今年のカナダの冬。
この調子で行くとドライ・クリスマス(雪が降らずに地面が乾いている)に
なりそうです。 

心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー 
上原英子です。 

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たくさんのアクセスがあった、K君のお話の続きです。

【W君1:生まれ直したい】
http://kokoronoartwork.blogspot.jp/2015/11/111415.html

私とのアート・セラピーのセッションで生まれ直しの儀式のような動作を

繰り返していたW君。

彼の担任の先生と話してみると、どうやら彼はお母さんとの愛着関係が

希薄な様子だった。

セッションでオモチャを用いて自然発生的に劇をしていたら、

こんな会話になった。

W君「ボクのお母さんはもういないんだ」

私「そうなの、いなくなっちゃったのね。」

W君「死んだ。」

私「そうなの、死んじゃったの?

どうして死んじゃったの?」

W君「ただ、死んじゃったんだ。それだけ」


W君は紋切り調にこう言い放つと、劇は別場面に展開した。





W君「先生はボクのお母さんなんだ。

ボクはコーラが飲みたいんだけど、
ボクが隠してあるから先生には探せない。

先生はいろいろなものを持ってくるけど、
ボクは気に入らない。

欲しいものはコーラだけだから。」

 
気に入らないものは全て床に投げつけられた。
あっ・・・そうだったんだ!

私=お母さん 

それで、私が何をしても気に入らなかった。

お母さんと結びつきたいのに、

コーラ(愛)が欲しいのに、お母さんには探せない。

上手くいかなくてイライラして
私に八つ当たりしてたんだ~ 

本当に欲しいのは、お母さんの愛なんだね。
 
劇は違った展開を見せ、W君はカエルに安全地帯を作った。

この囲いは彼の家であり、安心して居られるところ。
まるで、 母の胎内のように。

 

W君「ねえ、先生。ボクに折り紙で携帯電話を折ってよ。」

W君のいつもの命令口調とは違った、お願いの調子だった。 
私が折り終ると、次は紙飛行機を折って欲しいと言う。

私「いいよ。何色がいい?」

W君「先生が選んでいいよ。
飛行機の形も任せたよ」
「お兄ちゃんにあげるんだ」とカモフラージュ風に模様を描いたW君。

ええ~っ、
ああせい、こうせいと命令していたW君が!


私に作業を委ねている間、自分は私の横で折り上がった携帯電話に絵を描いたり、番号を付けたりしていた。 

その様子はとても心が落ち着いていて、
W君が初めて安らかに見えた。


彼の足が私のふくらはぎに当たってるのを感じた。

子どもは体温が高くて、温かい。

心を許して私に近づいてきたくなると、
こんなふうに机の下で足を寄せてくる子がいる。

W君「先生とのこの時間がずっと続いたらいいのに。」

残念ながら、W君の願いは果たしてあげられない。

セラピストは親の代替としてさまざまな感情を
投げかけられることがあるけれど、
本物の親にはなれない。

来年のセッションでW君に会えるまで、
北米では一大行事のクリスマスがある。

このセッションで過ごした心安らかな時間を胸の片隅に刻んで、
ストレスの強いこの時期を乗り切って欲しいな。







 


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