今週は雪どころか♬あられや~コンコン♪が降り、
文字通りワンコは嬉しそうに外を駆け回っていました。
児童虐待は子どもの心身に痛みと傷跡を残します。
(今回の掲載画像はネットの拾い物です)
心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする 『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。
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今回は児童虐待という心が重た~くなるような、
だけど、どのようなものか知ることがとても大切な内容です。
K君は問題行動のある生徒の代替教育プログラムの
年少クラス(幼稚園~小5)の中では年長あたる10歳の少年。
クラスの説明はこちらへ。
http://kokoronoartwork.blogspot.jp/2015/10/101415.html
彼は不安感が強く一般クラスの中ではやっていけないという
理由でこの学級へ入ってきた。
最初のクラスでのセッションの日、K君は私と目を合わせようとせず、
ため息をついたり、ひとりでブツブツいいながらお絵かき。
彼が『今日の気分チャート』を書き入れた時、
「不安でうつ状態」と記した。
でも、私は彼が描いた顔の表情から、
私「落ち込んでいるというより怒っているように見えるんだけど、
どうかな?」
と話し掛けた。
そんなことを言われたことない彼は驚いたようで、私が指摘した気分を描いた自分の顔を、落ち込んでいる様子に描き直していた。
私にはK君は本当は親や先生など大人に対していろいろなことに
怒っているんだけど、自分は子どもで大人には敵わないと諦めている。
だったら、不安で落ち込んだ可愛そうな弱者:被害者路線で行ったら
大人から同情してもらえるので演じていると感じられた。
最初の一対一のセッションの日。
彼は喜んで小走りして私についてきた。
彼の足元を見ると、穴が開いた靴を履いていた。
私「この間の私のアートの時間はどうだった?辛そうに見えたけど。」
K君「知らない大人が来たから緊張してたの。僕はシャイなんだ。
でも、先生は一度会った人だから、今日は平気だよ」
近くに座ったK君からは何日もシャワーを浴びていないような臭いが。
私とアート・ゲームをするK君の手の動きを見ていたら、袖口が切れて
ボロボロの服を着ていた。
捲り上げた袖の下から覗く腕には掴まれたような手の跡が痣になって
残っていた。
K君が家で不当に扱われているのは明らかだった。
心のドアを堅く閉ざしているK君の本当の気持ちは、大人に
関心を持って欲しい、面倒みて欲しい、構って欲しい、そして、
愛して欲しい。
心の一番底にある気持ちは、親から無条件に愛されたい。
実生活ではその切なる願いは叶わず、虐待(ネグレクトも含む)を受けている。
そこで、期待に応えてくれそうな大人に出会うと心を全開して、仔犬のように
無防備になり、寝転がってお腹を見せて完全降伏してしまう。
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私とのセッションでは、いつも私を喜ばそうと私の絵を描いてみたり、
私を褒めてみたり、健気にいい子を演じるK君。
家族の話になると、やさぐれた親が彼を乱暴に扱う様子や、世話をされずに放っておかれている状況が表われ、私の心は重くなってきた。
彼のお絵かきのプロセス:何をどのように描いたかを観察していると、
彼の心には不安の大きな雨雲が空一面に垂れ込めているのが分かる。
虐待にあっている子どもはいつも安心しきれずに
どこかビクビクしている。
部屋の外のちょっとした物音にギクッとするK君。
不意に暴力を振るわれた時の恐怖が身体に沁みついているのかも知れない。
今日は紙飛行機を一緒に折った。
私が持っていったポジティブな言葉のシール(先生用に100均などで
売っている)を見せて、好きなものを選んで張ったK君。
WOW!
SUPER STAR
GREAT
K君は親や先生から言って欲しくても、誰からも言ってもらえない言葉を
選んだかのようだった。
それらのポジティブな言葉を自分に掛けていたK君。
私が席を立とうとした時、机の脚に靴先が当たって音と立てた。
それまで楽しく飛行機を飛ばしていたK君が咄嗟に振り返った。
K君「先生、大丈夫?
脚をぶつけたの?
痛くなかった?」
親に心身の暴力を振るわれ、痛い想いをしてきているK君。
男児の場合は荒くれ不良化したり、暴力の加害者化していくケースが多い。
K君は自分の痛みを感じた体験から、他者の痛みに共感して思いやりを向けている。
彼の心の強く優しい面を感じて私の心の中に温かい気持ちが湧き上ってきた。
私はK君との間にアート・セラピーを通して信頼関係を築いていきたい。
大人の中には自分と心を通わせられる人もいる体験をして欲しい。
その体験は彼の心の癒しを促していく。
今日は、暗闇の中にも一抹の希望の光が見えたような気がした。
これからのK君がこの素晴らしい人間性を伸ばしていけますように!
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