ファシリテーターのM先生と私は先住民族の生徒が多いこの小学校で2008年からアート・セラピーのグループ・セッションを開催していました。
正面玄関には先住民族アートのレリーフが掲げられています。
校内には先住民族アートが掲示されていて、学校の方針にもメディソン・ホィールの象徴が用いられています。
開会して参加者が輪になった会場にはこの地域の先住民族のエルダー(シニア)が招待されていて、レジデンシャル・スクール(カナダ政府による先住民族のお子さんの寄宿学校への強制収容)の話や、代々に渡る不遇な境遇の記憶を共有しました。語る者、聴く者双方が涙ながらにこの場を共にしました。
参加者はカナダの先住民の歴史を体現するエクササイズを体験。
先住民族の柄の毛布を床に置き
床に敷き詰めたところ。まるで合宿の雑魚寝状態(笑)
ファシリテーターが先住民族が住んでいたカナダの土地をさまざまな理由を付けて没収していきます。
床に毛布がなくなった所は立ち退きさせられた部分。
自分の土地がどんどん減らされて、立っているスペースのみになった状態。
クラスでこのエクササイズをすると、生徒たちは自分の土地(毛布)が奪われていく過程でさまざまな感情を味わい、 先住民族の問題を真剣に取り組むようになる例が多いそうです。
ランチの後のエクササイズは、参加者が輪になってレジデンシャル・スクールのブロックを手にして感覚的に自分がブロックに成り切るところから始まりました
100年以上に及んでレジデンシャル・スクールでの出来事を目撃してきたブロックを触ると、悲しみ、無力感、怒り、失望などの感情が胸に突き上げてくるかのようでした。
ここで紙を小冊子にして、1ページごとに自分がこのブロックとなり質問に答えていって、6ページの本を作成しました。
先生方はこれを教室に持ち帰り、先住民族問題の教材として用いるそうです。
最後のプロジェクトは木片に先住民族の文化を学んだことにより自分がモザイクのひとつとなって表現するモザイク・プロジェクトの実習。
私の作品のクローズ・アップは…
このメディソン・ホィールの内側の4色:白:白人、黄色:黄色人種、赤:先住民族、黒:黒人。これらの人種の統合を調和を象徴としています。
真ん中に『愛』を書き込みました。
裏面には桜の花が太陽の光を燦々と受けている図にしました。
閉会の儀として先住民族の血を引く先生方によるドラムと歌の演奏が行われました。
鹿の皮革で手作りしたこのドラムの音は暖かく、心臓の鼓動のような響きに感じられました。
私がセッションをしている生徒の中にも先住民族のお子さんがいます。
今回自分が学んだ知識と体験した感情を今後の臨床に活かしていきたいです。
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