残暑厳しい日々が少しずつ減ってきて、
朝晩は冷え込むようになってきました。
空の模様から秋の気配が感じられる西カナダです。
セッションで心理テストを取り入れた例を紹介致します。
心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする 『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー
上原英子です。
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例年は夏は臨床心理カウンセリングの仕事は少ないのですが、
この夏はたくさんのクライアントが!
今夏は地域的に山火事が頻発したため、不安を感じた人が多いのかも。
私が臨床したクライアントには子どもも大人もいますが、
その中に子どもの症状に対して心理テストを用いた例がありました。
この場合、親御さんとお子さんが別々にテストを受けました。
とても興味深い結果となったので、クライアントにブログ掲載の承諾を
頂き、匿名でテスト結果をアップ致します。
12歳の男児A君に行動を心配して来談されたご両親。
親御さんによる息子くんの生活態度に関する話を聴いていて、
それぞれの障害指数が数値で表示される心理テストを用いてみようと
協力を促しました。
今回用いたのは、
スペンス児童用不安尺度:
Spence Chlldren's Anxlety Scale
https://www.chibatc.co.jp/cgi/web/index.cgi?c=catalogue-zoom&pk=231
小学3年生から中学3年生を対象にした子どもの不安症を
測定する目的で開発された自己記入式の質問紙。
同じ質問で親御さん対象にお子さんの態度の観察テストもあります。
子どもの不安症は、児童の心理的問題の中で最もよく起こっているもの。
このテストはアメリカ精神医学学会のDSM-Ⅳ-TRに基づいて
およそ40設問されていて、不安障害全体の程度に加えて
1.分離不安障害
2.社交不安障害
3.強迫性障害
4.パニック障害
5.全般性不安障害
6.外傷恐怖 (限局性恐怖症)
の6つの尺度がどれくらいなのかを計れるようになっています。
親御さんにお子さんの行動を観察して答えてもらったテスト結果
Separation Anxiety:分離不安と、
Physical Injury Anxiety:外傷恐怖が
同じくらい、とても高い結果に。
お子さんに答えてもらったテストの結果は…
順位は逆転しているけれど、お子さんもおなじ部分が高い。
息子君は、1番に外傷恐怖が、2番に分離不安が
高い結果に。
この親子はとても分かりあっていることが、
スコアの同調から分かりました。 A君のセッションにはアート・セラピーを取り入れ、一緒にゲームしたり、
セラピスト(私)とA君の非言語コミュニケーションの仕方も
観察してみました。
これら、全ての所見をまとめてレポートを作成するのです。
セラピストとしては時間外にスコア集計や作成の時間と手間が掛かる
方法ですが、テスト結果が有効に働きそうな場合は
私はテストを取り入れています。
親御さんに息子君の不安症専門の機関やサイトをリサーチして推薦して、
感謝のお言葉を頂きました。
早期発見・加療が大切なのは、身体的疾患も精神的なものも同じなので、
セラピスト冥利に尽きるケースとなりました。
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