私は心理療法の専門的な技術を向上させるために、さまざまな研修会に
参加しています。
昨夜は『発達障害の生徒の学業と行動の二ーズをサポート』に出席しました。
教育庁管轄の83番学区域(the School Dist. #83)が、BC州胎児性アルコール・スペクトラム・障害のアウトリーチのプログラムを招聘して開催しました。
会場は高校の校舎内でした。
目を凝らすとWelcomeの右上あたりにYokosoって書いてありました。
Welcomeの日本語ですね。
ネオンカラーが目を引いたエントランスの壁画
昨夜は高校の図書室が講演会場となり、教員や親御さんをはじめ、幼児教育、私のような専門職、コミュニティーからも出席者がいました。
「自閉症スペクトラム障害:ASD」と共に「胎児性アルコール症候群:FASD」も脳神経発達障害という先天的な発達障害です。
「胎児性アルコール症候群:FASD」は妊娠中の母親の飲酒が原因で発症
します。
問題行動をとる「複雑なお子さん、並びに、ユース:Complex Children and Youth:CCY」と呼ばれる明確な診断を下されていないカテゴリーもこの中に含まれます。
以下は便宜上、FASDを主語にして記述しますが、 「自閉症スペクトラム障害:ASD」や「注意欠陥多動障害:ADHD」にも同様の障害が多く見られます。
これらの障害を持つ人の中には「胎児性アルコール症候群:FASD」の一部の
ように顔の特徴から発達障害があることが見受けられる層もいますが、殆どは
外目からは障害を持っていることが認識されません。
脳の中心の神経中枢には、以下の8つの分野があります。
1.認知(IQ)
2.学業の成績
3.記憶
4.コミュニケーション(言語力)
5.高等な機能
6.適応能力
7.感覚・運動機能
8.注意力・活動レベル
このFASDは脳の中心の神経中枢の8つの野の内、3つ以上に障害が
あります。
そこで、発達、学習、精神面、適応、社会性の面で困難が生じてくるのです。
例えば、実年齢が10歳の児童。
読み書き読解力は7歳、身体的成熟は9歳、ところが、社会性・感情面が6歳というアンバランスな発達の仕方をしていることがあります。
見た目は小学4年生くらいなのに、行動は幼稚園の年長のレベル。
そこで、児童が何かしでかすと、「ふざけている、やる気がない、反抗的
である」などと見られてしまうのです。
でも、本人は「ちゃんとやらない」のではないのです。
「できない」のです。
一次障害は脳のダメージがら起こり、機能障害が生涯続きます。
多くの発達障害者に見られる傾向は:
衝動性の強さ
自分の行動と事象を結び付けられない
結果を予想する能力の欠如
これらの行動から、彼らは考えなし、懲りない、荒くれ者と誤解されることが増えてしまいます。
この一次障害を露呈してる段階でサポートが得られると、
感情的・行動的な二次障害の悪化を防げる傾向にあります。
サポートの仕方としては、
1.発達障害は脳の先天的ダメージから起こっている
2.一人の個人としてよく理解して関係性を築く
3.行動を観察し、苦手分野の方法を工夫していく
4.防音、刺激を減らし、学業に相応しい環境を作る
5.問題行動が起こる前に察知して手を打つ
ここでこれらの障害を持つ人、そして、一般の方に対しても
有益なコミュニケーションの方法をご紹介します。
1.話は簡略に。「〇〇君 今 宿題 する?」単語のみでもOK
2.肯定的表現。「走るな!」→「歩いて!」
3.言葉を徹する。「あれをして、その後に…」→「これをやって。(少ししてから)これをやって。」
4.ゆっくり、理解できるように時間を取って語りかける。
5.ひとつの指示のみ。「AからBに行ったらCを取ってDに行き…」→「AからBへ行って」(Bに行ってから)「Cを取って」(取ったら)「Dに行って」
6.順番に指示をする。「体育館に行く前に数学のテストです」→「まず数学のテスト。それから、体育館に行く」
7.文字通りの答えをする場合があるので、質問を具体的にする。「どちらにお住まいですか?」→「住所を教えて下さい」
8.説明したら「わかった?返事は?」→聴き取りが苦手で視覚優勢なので、「分かったら、やってみせて」
いかがでしょうか?
これは発達障害のクライアントだけでなく、日常の会話でも取り入れていきたいテクニックだと感じます。
今後もこのような研修会に出席して知識を深め、臨床に役立てたいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿