2015年10月29日木曜日

10/28/15 【J君1:世界一のダメ人間】

北米は今週末がハロウィーン。
学校や町ではパンプキンの彫刻や飾りつけが施されています。

心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー 
上原英子です。 
 

自分のことをダメな人間だと思ったことがありますか?
あったとしたら、どんな時でしたか?


学校の成績が悪くて、親に叱られた時。


スポーツのチーム・プレイでお前が下手だから負けたと責められた時。


友達の間で無視されたり仲間外れにされた時。


仲間の空気が読めなくて、自分だけ浮いてしまった時。


きっと、いろいろな状況がありましたよね。


私が一対一でアート・セラピーのセッションをしている生徒たちは、何らかの発達障害を持っているケースがほとんど。


学習障害があると、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力を
体得したり使いこなすのが難しくなるのです。


これらの能力は毎日の生活の中で必要な領域なので
できないと著しく遅れていることが分かってしまうから、
彼らの自己評価はとても低くなる。


「僕は何をやってもできない」

「私は世界一のダメ人間」


自分を卑下して、ダメだと非難し、やる気を失う。


でも、これは思い込みなんだよね。


その思い込みを覆す体験をして、新しいものに書き換えるよう
勇気づけることが、大人でありセラピストの私の役割だと信じている。



「僕は何をやってもできない」

      ↓

「僕は話を聞いて理解するのは苦手でイライラしちゃうけど、
図式を読み解いたり、絵を見て判断することは得意」

これは個人の特性なんですよね。



「私は世界一のダメ人間」
 
       ↓ 

 「私は授業の速度についていけなくて悲しいけど、
アートの時間には色や形を使って自由に自分を表現できる」

学習の分野でのつまずきだけで自分の人間性の全てを
否定しなくてもいいよね。


ハロウィーンのパンプキンのジャック・オー・ランタンの彫刻は、
写真の形式が一般的。

それでも、いろいろな大きさや形のパンプキンがあるし、
別の表情を刻んでもていいんだよ。





2015年10月22日木曜日

10/21/15 【問題行動って?】

色付いていた街並みが、枯葉舞う光景に様変わりしてきています。

心を紐解くアート作り:プロセスを大切にする  『心のアート・ワーク』の
カナダBC州公認アート・セラピスト&同州公認心理カウンセラー 
上原英子です。
 これは何歳の生徒の作品でしょうか?









































私が生徒と一対一のアート・セラピーをしているBC州学区域#83の 
特別支援教育の代替教育プログラム:Alternate Programs


このクラスに入るには、 以下の条件を満たしていることが条件。

1.学校組織外の機関やサービスへの嘆願、または学校組織による問題行動カテゴリーに関連している行動がある。

2. 内的な行動障害の可能性による障害がある。

3.一般的な学習環境に留まる権利を剥奪された。

4. 新しいスタートを切ることによって生徒にとって利益がある場合。

5.生徒は学校、コミニュテイー、家庭などで問題行動を呈している場合。

6.学校の内外の問題解決能力が最大限に発揮される。




この中でも最も重要なことは、生徒に顕著な(行動面の)障害があること。

ページ頭の作品を描いた生徒の『今日の気分』シートです。

実年齢より4学年も上の数学や科学の問題をサラサラ解くことができる知能
先生や親を含めた大人に理論的な意見を展開する言語能力
共に高い能力がありながら、 

彼は自分の感情が分かりません。


そして、クラスメートとうまくやっていけないのです。

彼はこの表情を描いて、mad:怒っている、を選びました。
でも、私には彼が困っている表情を描いたように見えました。


実際に、自分の態度に対して先生からがっかりされたところでした。
それに対して、彼は拗ねてふくれっ面をしていました。 


でも、彼は自分は怒っていたと認識していました。


ページ頭の生徒の作品は、ゴルフボールにクレヨンをなすりつけて、
その模様を紙に写したものなのです。


幼児が楽しみそうなこの活動をした 
この生徒の実年齢は8歳です。
学校の空いている部屋を使ってのアート・セラピー個人セッション

香り付きのマーカーや多色ボールペンなどの他に、右側の感覚を刺激しそうな手遊び道具を置いておきます。

席について私が指示をする前にこれらの遊具を手にしてしまう生徒は、
他の場面でも衝動性が高い行動が見られ、問題行動だと見なされます。

こちらは何歳の生徒の作品でしょうか?


この自由画にはさまざまなものがカラフルに描かれています。
中でも一番私の目を引いたのは、文字使いが多いこと。

bubby→buddy:友達

lalalalalala:歌声

anoing→annoying:煩わしい


スペルは間違っていますが、北米では大人でもスペルを正しく覚えていない人もたくさんいます。

彼はお絵かきや塗り絵が得意なことを、セッションで見せてくれました。

happy:幸せ
calm:落ち着いている

模範的なポジティブな気持ちに丸を付けています。
本心からなのか、先生的立場の私にいい子だと思われたいからなのか
分かりません。


私のアート・セラピーのグループ活動中に彼の問題のある言動により
退出されられたこと。


また、家族の中で齢の近い兄弟たちに、

「おまえはロクなことを言わない、ウザい!」

と言われていることが悲しいと告白しました。 


彼が周りの関心を引きたくてネガティブなことを言うのか、
または、衝動性が抑えられず暴言をするのかは分かりません。
 
この生徒の実年齢も8歳です。

 
このように一般校のクラスに適応できずこの学級に入ってきた生徒たちは、
何かしらの問題行動を抱えています。


私との一対一のセッションで、どれだけ心を開いてくれるか
大人である私と信頼関係を築こうと向き合ってくれるか


これからが楽しみです!
 

 
 

2015年10月15日木曜日

10/14/15 【どんな子どもでしたか?】

カナダBC州学区域#83の特別支援教育の代替教育プログラム:
Alternate Programsでのアート・セラピー個人セッションが始まりました。

  
心を紐解くためにアート作りのプロセスを大切にする 
『心のアート・ワーク』の公認アート・セラピスト&公認心理カウンセラー 
上原英子です。
初日のクラス最後に撮った集合写真はこんなに活発に写っていますが… 
 ひとりひとりがピザのピースを描いて、最後にクラス・ピザができあがったところ

最初にお絵かきした時は、普通学級のように皆こんなに大人しかったのです。

突然ですが、あなたはこんな子どもでしたか?

臆病で自分の言いたいことを言えなかったでしょうか?

かんしゃく持ちで時にはギャン泣きしたでしょうか?

順番やルールが守れずに叱られたでしょうか?

新しい状況が不安でうまく順応できなかったでしょうか?

先生の指示を理解し行動するのが難しかったでしょうか?

じっと席に座って授業を受けるのが苦手だったでしょうか?

興味のない授業は空想に耽っていたでしょうか?

カッとなると暴力をふるっていたでしょうか?

興味のないことには気が散りやすく、楽しいことには
時間を忘れて没頭したでしょうか?

クラスメートとうまく関わることが難しかったでしょうか?

頑固で自分の考えを変えることが難しかったでしょうか?

周囲の人の行動に左右され、自己決定できなかったでしょうか?

人の言うことを正確に理解することができず間違いを繰り返したでしょうか?

実年齢よりだいぶ早熟、または未成熟だったでしょうか?

 
 ~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~

どれか子どもの頃の自分の行動に当てはまるものがあっても不思議ではありません。

私がアート・セラピーの個人セッションをしている子どもたちは、上記の幾つかの行動と共に、学習面で難しさを抱えているのです。

特別支援教育の傘下の代替教育プログラムとは…

ギャン泣きや、不適切な行動により先生から命じられて退出の生徒が出て、半分になってしまったクラスの集合写真。ピザも未完成で半分のまま。

簡単に言うと問題行動のある生徒たちのクラス。

ジュニアは、幼稚園から小学五年生まで。
シニアは、小学六年生から高校一年まで。シニア・クラスには構内でもキャップ、フッドかぶったり、髪を青く染めた生徒も。
各々が使えるギターがあったり、アイスホッケーの用具も完備。
生徒がキッチンで料理することも。手の形のクッキー、どうやって作ったのかしら?

生まれつきの発達障害、学習障害、を持つ生徒も多いけれど、離婚や機能不全など家庭環境に問題があるケースがほとんど。

中には精神疾患の兆しがあったり、里親制度の元にいる子も。 ファースト・ネーション(カナダのインディアン)や、海外から移住してきた生徒もいます。
シニア・クラスでは言葉の表現も含まれるピザができました!

9月から新学年度になりました。
これから延べ30人の生徒とアート・セラピーの個人セッションしていきます。

大人との関わりで人間不信になっている生徒もいるので、
まずは信頼関係を築いていくことを目標に臨床していきます。 

今年度も生徒たちとアート・セラピーできることに歓びを感じて
ワクワクしています!

2015年10月12日月曜日

10/11/15 【生きてきてくれてありがとう】

今日は私の誕生日でした。
今日まで生きてきてくれた自分に感謝の詩を贈りました。

『生きてきてくれてありがとう
 
9月に入ると気が滅入ってきて
誕生日のある10月は雨と曇りが多くなる
肌寒くなってくる秋は
心に薄青の憂鬱という色を刷き淡く染めた

生れた日の記憶は
グレイ・トーンの冷たさの中
仮死で生まれてきたこと
男に生まれなかったこと

毎年の誕生日にこんな言葉で擦り込まれた
生まれてしまったことへの嫌悪

本当は生まれてきたくなんてなかった
この世で生き難い人生が待っていると分かっていたから
本当は生を受けるはずではなかったと
心のどこかで呪文を唱えてきた

身体が丈夫でなくたって
男に生まれてこなくたって
それでもよかったんだって
私が私を認めたなら

今まで生きてきたことに
ありがとうと言いたくなった
誰にも分かってもらえなくたって
私が自分を受け入れていればいいよ

居場所がないと探しあぐねながら
温かさを求めながら
彷徨っていたいばら道は
今、ここに繋がっていた

生きてきてくれてありがとう
私は今日、ここに居るために在ったと悟った
生きてきてくれてありがとう
人生最後の日まで、そう言い続けよう

2015年10月6日火曜日

10/5/15 【一生の内、3人に1人が精神疾患を発症!】

少しずつ木々が色づき、町が紅葉であふれ始めました。
今日は秋らしい晴れ間に心躍らせました。

 『心のアート・ワーク』主催のアート・セラピスト&心理カウンセラー
上原英子です。


10月の第二週ははカナダの精神疾患気づき週間。
今年は10月4-10日の週に施行されています。


BC州のカナダ精神衛生協会でも精神疾患についてのさまざまな資料を展示し、住民の関心を喚起しています。
左側は不安症、PTSD:心的外傷後障害、恐怖症、パニック障害、鬱と双極性障害。
右側は産後うつ、 強迫障害、統合失調症、児童や若者のうつの資料が
揃っています。

ひと疾患毎に分けてパンフが作成されているので、
興味のあるものを持ち帰れます。


どこに助けを求めたらしいのか、精神衛生、精神疾患のさまざまな要素や状況についての資料もあります。

お子さんの状態に対する資料や、どこに相談したらよいのかなどの情報満載。

人生を満喫するためのコースや、地元での精神衛生関連の情報についての
パンフレットも。


生涯を通して3人に1人は精神疾患を体験するそうなので、精神疾患は他人事ではありません!

このような機会から精神疾患に関する正しい知識が広がりますように!

2015年10月3日土曜日

10/2/15【毛糸で編んだ樹展に参加!】

秋の雨降りの日は何となく気持ちが湿った感じに。
鬱陶しく感じる雨は、心に潤いを与えてくれているのかも知れませんね。

『心のアート・ワーク』主催のアート・セラピスト&心理カウンセラー
上原英子です。

自分が毛糸で編んだ木の根っこを持って


今日はカナダBC州サーモンアーム市のアートギャラリーの展覧会のオープニングナイト。

The Knitted Tree:A community sculpture installation:
毛糸で編んだ樹:コミュニティーの彫刻の設置芸術


この展覧会は、木の根っこ、木の幹、葉っぱ、枝の毛糸巻きなどの作業を
昨年からコミュニティーに呼びかけ200名以上の人が参加して創り上げられたもの。

編み物好きな私はさまざまなパートを編み、木の幹のフェルトを作り、枝に葉っぱを付けました。

 このフェルトは私の作った部分です~

 この展覧会会場は土足禁止で、作品の一部である根っこが張り巡らされている会場を歩き回れます。
木の下に座っちゃっても大丈夫
 
 たくさんの人が訪れて満員御礼となったオープニング・ナイト

これからもこのようなプロジェクトにコミュニティーの一員として参加したいです。
こんな活動をすることによって、この地域に属している感覚を得られる人が増えるといいな。

2015年10月1日木曜日

10/1/15 【プロフ写真もブログもリニュー!】


カナダは朝晩の気温が一桁になり、霜が降りる朝もあります。
秋の気配が日に日に色濃くなってきました。
『心のアート・ワーク』主催のアート・セラピスト&心理カウンセラー
上原英子です。
プロのヘアメークの友人が撮ったプロフィール写真に更新しました~

5月15日を最後にお休みしていたブログの更新。

5月中旬から二ヶ月間日本に帰国していました。
そして、その間は怒涛のようなアート・セラピーのツアーでした。
愛知県半田市ある小学校のひまわり学級でのアート・セラピー

全国のアート・セラピー講座で再会した懐かしいお顔や
新しくお会いした方たち。


お陰様で、心躍るような毎日を過ごすことができました。

私と出会って下さってありがとうございました。 

7月中旬にカナダの自宅に戻りましたが、
来客のために自分の時間はゼロ。
カナダBC州のこの地域の市長も参加した書道教室を開催

8月・9月はアート・セラピーの臨床をしながら、
心理学の学びに終始しておりました。
英語の心理系の本を読むは時間が掛かります~


そして、いよいよ10月。

北米の学校は9月に新年度開始。
私のアート・セラピーの仕事は10月から始まります。

代替教育プログラムの生徒たちは、訳ありの子が多いのです。
行事ごとに写真を撮っておくと生徒の成長の過程がよく分かります

養育者との関係問題があったことから、
先生など権威者との関係をうまく結べなくなったり。

私も大人の一人として先入観を持たれることがあるけど。

彼らにどう心を開いてもらい、そこから
信頼関係を築いていくかに腐心する毎日になります。

セッションではお絵かきだけでなく、クラフト用品やオブジェクトを使うことも

さあ、さまざまなアート用品を手に学校通いが始まります。

生徒たちに特に人気があるのが、Scented maker:香り付きのマーカー。

胸の高鳴りを感じながら、新しい出会いに乾杯!