2012年2月2日木曜日

2/1 『一本の絆』アートと詩のコラボ

数年前から、アクリルや水彩絵の具を用いて制作したアートに自作の詩(日英両語)を
綴ってアートと詩のコラボ作品を制作しています。

今回のタイトルは『一本の絆』です。

 

『一本の絆』

誰でも一度くらい
生きていたくなくなっても不思議はない
そんな時、
そこで留まるか、
逝き急いでしまうかは、
ほんの糸一本くらいの違いしかない

15歳の凍てつく日曜日の午後
もう、生きていたくないほど絶望し
一本だけ電話を掛けてから
そのまま高いビルから飛び降りてしまおうと
受話器を取った

先生は私の電話を受けて
「どうせ死ぬのなら、今日でも明日でも
変わりはないでしょう。
だったら、明日、学校に来て私に会いに来て
約束よ」
先生は慌てふためくこともなく、
平然とこう言い放って送話器を置いた

翌日、先生に会うためだけに
制服を着て、重い心を引きづって
なんとか学校に辿りついた
その頃には、これ以上の重労働は
考えられなくなっていた
自らの命を断つほどの意気も萎えていた

あの時、脆く崩れかけた私の命を
向こう側でしっかりと、でも、平静に
握り締めてくれた感触が
消えかけていた私の命の火を
もう一度灯す勇気につながった

一本の電話が
心と心を結ぶ絆となって
命綱となってくれた

今度は私が
差し伸べてくる小さな手の
反対側でしっかりと握り締めよう
一本の絆を
心の命綱を



A Thread of Attachment

When one has no desire to live,
There’s a very small difference, thin as a thread,
To decide to whether to give up
Or stay in this world.

When I was fifteen, I was in despair and did not want to live.
I called my school counselor to say good-bye to her.
She said, “It’s the same whether you kill yourself today or tomorrow.
So promise you’ll come and see me tomorrow.”

The next day it took all my strength to go to school.
When I saw my school counsellor, I was so discouraged I had no will to live.
However, I sensed my councilor held a thin thread binding us together,
A conviction that turned a light on in my life before it had almost gone out.

That one phone call was a bond between us,
Encouraging me and saving my life.
Now it is my turn to establish the same bond with my client,
The bond that binds clients and a therapist together.


*スクールカウンセラーとの関わりが、思春期の自殺念慮の命綱となった
自らの体験を綴ってみました。


アート制作のプロセス:


最初に手と絆という文字を白く抜いて背景の水色を塗りました。



手と絆という文字に色を塗り


絆の字と同色の毛糸を編んで、一本の糸に見えるようにしました。
そして、しっかりと留まるようにキャンバスに穴を開けて毛糸を通しました。

2 件のコメント:

  1. 感想をうまく言えませんが、すごく心に響いて涙がにじんできました。
    私は英子さんの言葉に救われました。赤い糸ではなく、私は黄色い光でした。
    ありがとうございます。

    晴子

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  2. はるちゃん

    人は誰かがちゃんと自分を分かってくれたと実感した時に、
    これからも生きていく勇気が湧いてくるように感じます。
    きっと、はるちゃんの中で私との会話がその役目を果たしたのでしょう。

    黄色い光は希望を照らし出しているのでしょうね。
    はるちゃんは光の中を歩き出しているんですね。

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