2011年6月12日日曜日

ネットのこんな記事の見出し

6月10日に無事に成田に降り立ちました。
いつもながら空港の扉が開いた瞬間に感じる空気の湿度の高さ、
ああ、日本に帰ってきたんだな~と実感しました。

このような記事がネットに載っていたと知りました。

朝日新聞「アートセラピー」かえって心の傷深くなる場合も

ここをクリックで記事が別ウィンドーで開きます。

見出しだけ見た方は、アート・セラピーに対して否定的なイメージを持ち兼ねない表記で
あると感じ、この療法により心理療法をしている私はとても残念です。

「・・・指針では、心の表現を促す活動は、専門家とともに行い、心のケアなど継続的に
かかわることができる状況でのみ実施するよう求めた。」

ここまで読んだら専門にしている者から見たら当たり前のことが書かれていましたが、
見出しからは、まるでアート・セラピーという療法自体を非難しているかのようにも
受け取れ、その表記の仕方を懸念しています。

いくら善意であっても素人の人たちが

「子どもが絵を描いたら心の傷が癒される」

とばかりにアート・セラピーの理念も実践も経験がないままに他者に施すのは言語道断です。
日本ではアート・セラピーという療法が絵や造形を作るという気安さから、あまりにも
迂闊に乱用される可能性があるように感じられました。

特にトラウマを伴うケースのアート・セラピーでは、他の心理療法とどうように
療法家とクライアントの信頼関係が築かれていくことが原則です。
あまりにも簡単にたった数日間のコース受講でアート・セラピストの終了証などを
発行している協会もあるようで、倫理的にもいかがなものか、と感じます。

日本ではアート・セラピストの統一資格認定がなく、
どのような協会を設立するのも自由ですし、独自のコース終了により

「アート・セラピスト認定」

ができることに問題があると感じます。

と言うことは、そのセラピストに専門的な心理学の知識、セラピーの実践能力があるかどうか、
セラピーを受ける人が尋ねなければ分からないのですよね。
もし、セラピストにその分野の知識が乏しく、アート・セラピストとしての
治療的能力に問題と感じた場合、セラピーを受ける人の自己責任で、
だれを選ぶかを選択する必要が出てくることになります。

アメリカ・カナダでは、(州にもよりますが)最低限大学の心理学部専攻の
基礎部分の心理学の履修、その後に大学院、または工科学校の専門課程を
修了しなければアート・セラピストとは認定されません。

セラピストが自身の保険(クライアンとより訴訟された場合のために)
にも加入することができなために、開業もできない状態です。
(もし、保険のないままに開業したら訴訟時に自分が破産する危険が高くなります)

まず、治療者が人間の心と対する責任を持てる状態であるかどうか。
それだけの知識と実践、そして監修を受けてきているかどうか。
そのあたりのことをまずはアート・セラピスト自身が自答してみることが
大切ではないでしょうか。

「アートセラピー」かえって心の傷深くなる場合も

これは他のどんな心理療法でも治療者との関係性が築かれていない場合には同じようなことが起る可能性があります。

アート・セラピーに限ったことではないと結ばせて頂きます。

 

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